木の魅力
私たちボー・デコールはスタッフ全員「木」が大好き。1999年にお店をリニューアルしたときから「天然木」の家具にこだわってお客様にご紹介をしてきました。木には不思議な魅力があります。自然が生み出した規則正しくも大胆な木目を見ていると、不思議と心が落ち着きます。
木が生い茂る森を見てリフレッシュしたり、陽が沈むときのオレンジや紫、青などが混ざりあった空を美しいと感じたり・・・。自然が作り出す風景や植物には、人工物には作り出せない「癒し効果」がたっぷり含まれているのだと思います。
自然豊かな土地に店を構え、長年木の家具をご紹介し続けている私たちは、年に2回林業に触れ、杉林を育てる活動もしています。そんな「木が好き」「自然が大好き」なボー・デコールスタッフが、奥が深い「木」の魅力についてたっぷりご紹介していきます。
木が生きてきた証
大きく立派な木でも、当たり前のように細く小さな時代がありました。目の前にある木のテーブルや椅子に使われている木がどんな歴史をたどってここにきているのか、想像を膨らませてみましょう。
育つ環境による年輪の違い
木の木目をよく見てみると、間隔が広かったり狭かったりする部分があります。これは気候によって木の成長速度が違うから。一年中あたたかな南国のような土地で育った木と、日本のように気候の変動が激しい四季がある国では、木目が大きく変わってきます。
落ち着いた雰囲気を醸し出す左のケヤキと比べると、右のモンキーポッドはなんだか元気で陽気な性格に見えてきませんか?育つ環境で性格も変わるように、木目にも国柄が出ていますね。
節は木の生きてきた証
木が育つには光が必要。光合成をするため、日の当たる方に枝をどんどん伸ばして大きくなります。そしてその枝を切り落とした部分が節となって現れます。節にはドラマがあって、同一方向に並んで節があると、「ああ、逆側はきっと日陰だったから、こっち側にたくさん枝を伸ばしているんだな」とか、枝だった部分の根元をみると、木目がギュッと凝縮されていて「この枝は相当大きい枝だったのかな」「左側に曲がった枝だな」とか、木が生きていたころの様子を想像して楽しくなってきます。
今でこそ節は天然木の証というのが浸透し、当たり前のように節入りの家具を目にするようになりましたが、ほんの20年前まではこの節は製品にならない使えない部分として扱われてきました。節を避けて製材し、節のない綺麗な部分だけを製品として使っていたのです。使わなかった節は当然のように廃棄されていたそうです。自然の木を楽しむと言いながら、一番自然らしさが出ている節を捨ててしまうのはもったいないですよね。
ボー・デコールの家具は、節はなるべく残しているものが多いです。大きな節は補修してあるので、使用するのには何の支障もありません。是非ご購入の際はどんな節が入っているか観察してみるのも楽しみのひとつです。
環境が生んだ模様「杢」
また、木には木目とは別に「杢(もく)」と呼ばれる模様が入ることもあります。これは厳しい自然の環境に木が対応していった結果生まれる偶然の模様。玉のように見える玉杢や、木が縮んでいるように見える縮み杢など、杢が入ることでさらに価値が高まるものもあります。
最近は技術も進歩し木目をプリントしたシートも多く出ていますが、やはり自然が織りなす不規則な木目の美しさには敵わないですね。
大きくうねる木
森や林を歩いているときなど、きれいにまっすぐ立っている木の脇に、くねくねと大きく曲がった木を見かけたことはありませんか。木がうねるのには育つ環境が大きく関係してきます。
なんの障害もなくまっすぐ育てる環境であれば楽なのですが、周りにすでに木が生えていて枝が広く横に伸びていたりすると、隣で生きるためにはその枝を避けるように育つしかありません。また周りに木がなかったとしても、雪が多く降る地域では雪の重みでねじれたり、風が強く吹きつけるような場所では風になびく方に幹が倒れていきます。
木の重量がどのくらいあるか、あまり想像できませんが、何十トンから巨木になると何百トンにもなると言われています。このとてつもない重さを支えるわけですから、その負荷は相当なもの。よくこんな横に生えて倒れたり折れたりしないなと不思議に思いますが、それだけ木は強く、生命力にあふれているのです。
何十年、何百年、そうやって木は自分の大きな幹や枝を支えながら生きていきます。私たちが普段目にするのは製材された木がほとんどですが、その木がどんな環境でどう生きていたのか想像を働かせてみるのも楽しみのひとつです。
木の基本知識
木の家具を選ぶにあたり、知っておきたい基本知識をご紹介します。
柾目と板目
同じ種類の木でも、まっすぐな木目もあれば、たけのこ状のような木目もあります。まっすぐな木目を「柾目(まさめ)」たけのこ状の木目を「板目(いため)」と呼びます。これは丸太を挽く際の切り方の違いです。
柾目の方が数が取れないのでより希少性が高まります。よく見かける無垢材の家具の多くは板目が多いので、意識して見てみると面白いと思います。
木の加工の種類
木でできた家具でも、価格や見た目に差があります。パッと見た感じは同じなのになぜ?と疑問に思うこともあるかもしれません。木は加工の仕方で差が出ます。どんな加工があるかあらかじめ確認しておくと、選びやすくなるはず。ここでは代表的な木の加工をご紹介いたします。
一枚板
1本の木から切り出し板状に加工したもので、木材本来の美しい木目や色合いを楽しむことができます。加工後も呼吸をしているため、ひび割れや反りなどの動きもありますが、存在感があります。木本来の形や木目を楽しめるテーブルの天板などに使われることが多いです。
一枚板の特徴
- 自然の風合いをそのまま楽しめる
- 重厚感が出る
- 丈夫で長持ち
- 室内環境によって反りや割れが生じることがある
- 重くて気軽に運べない
- 価格が高い
無垢集成材
一枚板よりは幅の狭い無垢の板を複数はぎ合わせて1枚の板状にしたものを無垢集成材といいます。集成材にすることでひび割れや反りなど一枚板の持つデメリットを軽減させることができます。また加工しやすい特徴もあり、家具では椅子やテーブルなどに使われます。
無垢集成材の特徴
- 天然木の良さを感じられる
- 傷がついても削って直せる
- 一枚板よりも選びやすい価格帯
- 多少は反りや狂いがでるが、一枚板と比べると反りは少なめ
- ハギ合わせのサイズによって価格や見た目が異なる
化粧合板
薄い板を木の繊維方向が縦横交互になるように何枚か重ねた合板の表面に化粧加工を施したものを化粧合板と言い、表面に天然木を薄くスライスしたシート状の板を貼ったものを【突板】、プリントシートを貼ったものを【プリント合板】と言います。ひび割れや反りなどのトラブルもより少ないため、チェストやTVボードなど収納の側面や天板・棚板等に使われることが多いです。
化粧合板の特徴
- 環境による狂いが少ないので棚などに向いている
- 突板の場合は、木の良い部分を使うので木目がキレイに見える
- 無垢材に比べると価格を抑えられる
- プリント合板の場合はより価格を抑えられる
- 接着剤などを多く使用しているため場合によっては匂いがすることもある
- 深い傷がついたら直すことができない
木質ボード
木材の原料チップを粉状にして接着剤と熱で固めた板になります。水や湿気に弱いものの、材質の密度が均一で割れにくく、製品の品質が均一になります。家具の扉やカーテンボックスなどの造作材のように強度を必要としない場所に使われることが多いです。
木質ボードの特徴
- おしゃれな風合いなので、壁としてつかうことも
- 無垢材などに比べると強度は劣る
- 強度が求められる場所には向かない
- 重い物を置くのにも向かない
- 接着剤を多く含んでいる
木の経年変化美しく変わる木の魅力
なぜ色が変わるの?
出来立ては明るかったのに数年経ったら色が濃くなったり、逆に色が明るくなったり。木材の色の変化を見ているのはすごく楽しいですよね。
木の色はなぜ変わるのでしょうか。
木の経年変化の要因は様々ありますが、一番影響されるのが太陽から出ている「紫外線」。木に含まれる「リグニン」という成分が紫外線を吸収し、木材の色に変化が起こります。
また、わずかですが室内の照明にも紫外線が含まれること、リグニンは空気にも反応することから、まったく日の光が入らない部屋でも多少色は変わります。さらに材種によって色の変化も異なるので、出来立ての色ではなく、この先どんな変化を遂げるのかを想定してお選びいただくのがポイントです。
どんな風に変化する?
木の種類はとても豊富で、それぞれ木目や色に特徴があります。ここでは、家具で多く使われている「ウォールナット」「ブラックチェリー」「オーク」材の色の変化をご紹介いたします。それぞれ詳しく説明したページもありますので是非チェックしてみてください。
ウォールナット材
<出来立ての色> ・乾いたこげ茶 ・うっすら紫がかる色味 ・黒っぽさが目立つ |
<10年後の色> ・やわらかな赤茶に ・乾燥していると白っぽくなる ・全体的に明るい印象に |
ブラックチェリー材
<出来立ての色> ・やさしい肌色 ・ほんのりピンク ・優しい雰囲気 |
<10年後の色> ・アメ色に変化 ・艶と深みが増す ・黒っぽさもでて渋い印象に |
オーク材(ホワイトオーク)
<出来立ての色> ・さらりとした薄い黄色 ・木目は薄いグレーのような部分 ・斑は白っぽい |
<10年後の色> ・オレンジがかった濃い黄色に ・艶と深みが増す ・斑も色が濃くなっていく |
ならべて見ると一目瞭然。それぞれ色の変化を感じられます。色は徐々に変化していきますが、濃い色の木は変化も大きいです。もちろん、木にも個体差があるので、同じ種類の木でも若干の違いがでます。どんな色になるのかも楽しみのひとつですね。
10年後もその先も
「ひとつのものを永くたいせつに」これは、私たちがずっと伝え続けていることのひとつ。せっかくのお気に入りの家具でも、傷や汚れが目立ってそれがマイナスポイントになってしまったら、いつしか買い替えたくなってくるもの。一方で天然木の家具のいいところは、使い込むほどに良さが増していくこと。傷や汚れさえも味わいに変わっていきます。限りのある資源を無駄にせずに永く大切に使い続けるには、天然木は欠かせないアイテムです。変わりゆく色合いと美しい木目を存分にお楽しみください。