ひとつのものを永く大切にする心を育むために


森

私たちボー・デコールは2016年から年に数回、林業研修として杉の森を育てるお手伝いをさせていただいています。実際に森林の手入れを体験することで、どんな風に家具が私たちの手元に届くのか、また木の生産者の方々の想いを少しでも多くのお客様にお伝えできればと思い、約1haの土地をお借りし、「ボー・デコールの森」として杉の木を育てています。この取り組みを詳しくご紹介する前に、読んでいただきたい言葉があります。

 『ウォールデン 森の生活』の著者ヘンリー・D・ソロー(Henry David Thoreau,1817-1862)の言葉より 

私が森に行って暮らそうと 
心に決めたのは、暮らしを作るもとの事実と 
真正面から向き合いたいと心から望んだからでした。 
生きるのに大切な事実だけに目を向け、 
死ぬ時に、実は本当には生きてはいなかったと知ることのないように、 
暮らしが私にもたらすものからしっかり学び取りたかったのです。 
私は、暮らしとはいえない暮らしを生きたいとは思いません。 
私は、今を生きたいのです。 
私はあきらめたくはありません。 
私は深く生き、暮らしの真髄を吸いつくしたいと熱望しました。 

ヘンリー・D・ソローのこの言葉のように、暮らしを作る事実や真髄を知ること、実際に会うことは難しいけれども、どこかで私たちの暮らしを支えてくれている方々の想いを感じることで、より深く、より優しく生きていけるのだと思います。

今回は2021年11月17日に新潟県阿賀町にある「ボー・デコールの森」で行った林業研修の様子をお届けします。

1本の木を育てること


下草刈り・枝打ち

林業研修の前半は、杉の木の成長を妨げる下草や雑木を切るところから始まります。草や細い雑木のなかにも、茎などが堅く切りにくいものがあったり、なにより低い姿勢での作業が続くので腰にも負担がかかり、重労働となります。その後は、杉の木がまっすぐ伸びていけるように木の低い位置の枝を落としていきます。ここで綺麗に枝を切ることにより、材木として使うときに美しい木目となることにつながります。

下草刈りの様子
下草刈りの様子

間伐

低い位置の枝を切り終わると、杉の木同士で近い場所に生えているものや、育ちの悪い木を伐採していきます。せっかく育った木を切ってしまうの!?と最初はもったいなく感じましたが、間伐は、真っ直ぐ育つ木にきちんと栄養を届けるためにとても大切な作業です。

およそ100㎡に杉の木15~16本くらいの木が生えているのが目安だそうですが、どの木を残してどの木を切るか、素人では判断が付きにくいので、ご指導いただいている新潟県森林公社の方に聞きながらの作業になります。木の生え方や枝振り、周りの木との距離など様々なことを考えて切っていきます。

クマはぎの防止

後半は、クマから杉を守るためにロープを木に巻いていきます。クマは木の皮をはいで、その下のあま皮をなめているということ。幹の半分以上の皮が剥がされてしまうと、木が枯れてしまいます。木々の成長を妨げることがないような結び方をし、ロープを少し長く垂らしておくと、クマはその垂れたロープの揺れを嫌ってその木に手を出しにくくなるのだそうです。

クマ剥ぎの予防
間伐後の森

下草刈り、枝打ち、間伐、クマはぎを守る作業を終えたボー・デコールの森。手入れをする前の鬱蒼とした森から比べるとだいぶ見通しが良くなりました。ただ、たった一日では森のほんの一部しか手入れができません。建材や家具に使える良質な木材になるには約80年程の期間を要するそうです。

自然に触れて

森の自然
森の自然
森の自然

この林業研修では、普段なかなか触れることのできない山の奥深くの自然を味わえることができます。忙しい日常では見過ごしがちな自然の美しさ、ありがたさ、奥深さ。水が流れる音、葉や土を踏みしめる感触、何気ない光の揺らぎなどに心を奪われます。森の中でなくとも、身近にある小さな四季の変化や、自然への感謝を普段から大切にしていきたいと改めて思わされます。

つながりを想う


木の樹液

林業をされている方にお話を伺うと、自分たちが生きている間には今育てている木が木材として使われた姿は見届けることはできないということ。次の世代のために、暑い日も、寒い日も過酷な作業をしながら森を守ってくださる人たちがいるということを、この経験をするまでは想像もできていませんでした。

私たちが皆さまに天然木の家具をご紹介できるのも、こうして大変な労力と、気の遠くなるような長い時間をかけて木を育ててくれる方々がいるから。また、その方々の想いを知ることで、ひとつのものを手をかけながら、永く使い続ける気持ちが自然と生まれてきます。

色々な人の真摯な想いがつながってできる素敵な家具。そのような家具をご紹介できることのありがたさを忘れずに、今後とも皆さまに自然素材の気持ち良さやぬくもりをお伝えしていければと思います。

text: watabe

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2021.12.07